作品全体から醸し出される非現実世界的な雰囲気など画家独特の個性的な様式が良く表れている
全体的な画面構築・構図は記念写真(ポストカード)とほぼ同一な、古典的な様式で描かれているものの、花嫁の右隣の人物がルソー自身の姿で描かれているほか、立ち並ぶ樹木や画面下部の黒い犬など画家独自の要素も加えられており、単なる集団人物画とは一線を画した、(自身の結婚を噛み締めるかのような)心情・心理的な画家の内面を見出すことができる。
また多数の研究者や批評家らも指摘しているよう、本作に描かれる人物らの正面性や平面性、素朴で実直な精神性は厳格な宗教画にも似た感覚を観る者に与えている。
描写手法的にも明確な輪郭線や、画面の中で際立つ中央に配される花嫁が身に着ける花嫁衣装の白色、地面や木々の葉などの緑色、雲の無い空のやや重厚で寒々しい青色などを始めとした冷感な色彩、構成要素の圧倒的な存在感、作品全体から醸し出される非現実世界的な雰囲気など画家独特の個性的な様式が良く表れている。